私は肖像画をみて、面白いと思った事がない。
どれも同じに見えて、いつも足早に通り過ぎる。
ゴヤの描く肖像画には足が停まった。
今から200年近く前の時代を生きた人物が、「夜にはキャンバスから抜け出て、考え事をしながら会場を歩いているのでは?」と想像が膨らんだ。
宮廷画家としての地位や収入を保持するためには、男性は実物よりも頼もしく、女性は最低でも3割増しくらいに若く美しく、ではなかったか?
そういう環境の中で人物の中身(人柄)を描いているから、いつまでも絵画に生命が宿っているのかもしれない。
すごいことだ。